ガラス加工用バインダレスcBN工具の成形に関する研究(平成22年度研究概要)
1.実施内容
ガラス切削における加工面品質向上に関する基礎的なアプローチとして、切削温度の測定を行いました。昨年考案した石英ガラス製光ファイバの加工時に発生する赤外線を測定する手法に改良を加え、研削・切削温度の測定を行いました。図1に示すエアタービンと軸付ダイヤモンド砥石を使用した研削温度は最高1,250℃であり、図2に示すエアタービンと超硬バーによる切削温度は最高1,250℃、図3に示す超精密旋盤によるフライカットでの切削温度は最高865℃でした。ガラスの切削温度を測定できた事により、加工現象の解明につながる情報を得ることが出来ました。
cBNの熱分解反応を利用した摩擦によるcBN工具の研磨を試みました。しかしながら、cBNは熱伝導率が高いため摩擦によって発生した熱は拡散してしまい、水分解が発生する温度には届きませんでした。また、工具の輪郭形状が加工形状に転写されるフライカットの特徴を生かした図4に示す角断面工具を製作し、加工実験を行いました。
図1 エアタービンによる研削温度
図2 エアタービンによる切削温度
図3 フライカットによる切削温度
図4 矩形工具
2.予想される事業実施効果
ガラスに代表される硬脆材料の加工は、金属加工と比較すると経験を有している会社、技術者は多くありません。超精密加工を含めた金属加工では中国などの追い上げが激しく、収益を上げることが困難です。収益が見込める高付加価値加工として、硬脆材料の切削加工が浮上してきました。硬脆材料の加工ノウハウは、今後の日本にとって必要不可欠な技術となると考えられます。
3.本事業により作成した印刷物等
(1)報告書
<KSK-GH22-3> 加工技術高度化に関する研究(平成23年3月)(4.32MB)
(2)口頭発表など
No | 発表題名 | 発表者名 | 発表先 | 年月日 |
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1 | Ductile-mode Cutting of Glass | T.Iizuka | The 14th International Machine Tool Engineer's Conference | 平成22年10月28日~11月2日 |
2 | Ductile-mode Cutting of Glass by Fly Cutting | T.Iizuka M.Yamaguchi S.Ueno N.Morita |
The 6th International Conference on MicroManufacturing (ICOMM 2011) | 平成23年3月10日 |