硬脆材料の超精密切削加工に関する研究(平成16年度研究概要)
本研究は、ガラスに金属加工と同様な切削加工(延性切削)を行い、ガラスレンズなどの切削による仕上げ加工実用化を目標にして研究を行っております。ガラスの延性切削による仕上げ加工が可能になれば、加工能率の高い切削加工が普及することは十分に予想されます。平成15年度までの研究では、バインダレスのcBN (立方晶窒化ホウ素)工具を用いて光学ガラス(BK7)の延性切削加工を実現いたしました。また、摩耗量がダイヤモンド工具と比較して非常に微少であり、実用的な切削工具としての可能性を見出しました。
平成16年度の研究では、実験装置(超精密旋盤)のCNC制御装置を新たにノイズ対策を徹底した新規開発の制御盤に改め、制御能力・加工精度を向上させました。図1に新・旧制御盤による同一切削条件で加工を行ったアルミニウム加工面を示します。左側はノイズ対策が不十分な旧制御盤による加工で、加工痕が多角形状になっていることが分かります。一方、右側は新制御盤による加工痕であり、滑らかな軌跡を描いていることが一目瞭然です。また、ガラスの延性切削加工では市販されている一般的なcBN(2種)、コーティングcBN(4種)、バインダレスcBN、超硬合金(K10)の工具を用い、同一条件で直径25mmのBK7ガラス円板に超精密切削加工を行いました。その結果、すべての工具で加工面全面ではありませんが、延性切削は可能でした。しかしながら、大半の工具には逃げ面に摩耗が観察され、最も耐摩耗性に優れている工具材種はバインダレスcBN(超硬純度cBN)工具でした。
図1 新制御盤による制御能力の向上