多自由度ステージ機構の開発研究(平成15年度研究概要)
中国などを中心とした生産拠点の海外移転が進み、国内製造業の空洞化がより深刻な問題となっている。アジア各国との熾烈な競争に打ち勝つためには、高度で低価格な製造技術による、付加価値の高いものづくりへの転換が急務である。このような背景から、生産機械に対する要求精度も、現在では数ナノ,すなわち10億分の1メートルオーダといった超高精度が求められている。しかし従来技術では、精度向上に伴ってメカニズムが非常に複雑になり、機械装置が大型、非常に高価格となる、等の欠点がある。
そこで、本研究では生産機械装置のキーコンポーネントの一つである多自由度ステージを対象として取り上げ、新機構の構造とすることで小型化し、新原理に基づく超音波モータのダイレクト駆動により、高速で高精度なナノメートルオーダの位置決め、メカニズム構造の単純化、低価格実現し、日本独自技術による高付加価値、低価格の生産機械実現を目指す。これまでの主な成果を以下に示す。
(1)新構造の超音波モータ提案
近年需要が高い超小型のアクチュエータとして、すぐれた特長を持つ超音波モータを開発。(民間企業と共同作業)
(2)上記超音波モータを用いた小型ステージの試作(下図参照)
小型ステージの試作を行い、精度測定、連続運転時の温度変化について検証を行った。0.1μmの分解能と約1μmの位置決め精度を確認した。運転時の発熱が非常に少なく省電力、熱変形防止等の面で優れた特性を備えることがわかった。
(3) 高精度X-Yステージの試作
オールセラミックス構造、高精度なレーザ干渉型エンコーダの採用を特徴とする、より実用的な2自由度X-Yステージの試作を行った。
図 試作した小型ステージ(評価用プロトタイプ) |
特徴:
マイクロマシン製造装置 |