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「中堅・中小企業の多様なDXを考える」

(一財)機械振興協会経済研究所主催 第482回機振協セミナー「中堅・中小企業の多様なDXを考える」開催報告 オンデマンド配信あり
開催日時 2025年3月13日(木)13:30~15:00
場所 WEBシステムにより開催(Zoom)
テーマ 「中堅・中小企業の多様なDXを考える」
講師 モデレータ:機械振興協会 経済研究所 特任研究主幹                             東北大学未来科学技術共同研究センター シニアリサーチフェロー 中島 一郎 氏                   講師: 有限会社永井製作所 代表取締役社長 永井 慎也 氏                          株式会社ひびき精機 専務取締役 松山 功 氏                                 コメンテータ:機械振興協会 副会長 兼 技術研究所所長 西本 淳哉
内容  2025年3月13日(木)にWebシステムより、第482回機振協セミナー「中堅・中小企業の多様なDXを考える」を開催しました。モデレータは機械振興協会経済研究所特任研究主幹兼東北大学未来科学技術共同研究センターシニアリサーチフェローの中島一郎氏にお願いしました。また講師は、有限会社永井製作所代表取締役社長の永井慎也氏と株式会社ひびき精機専務取締役の松山功氏にお願いしました。コメンテータは、機械振興協会副会長 兼技術研究所所長の西本淳哉が務めました。当日は、63名にオンラインでご参加いただきました。ご参加いただきました皆様に、厚く御礼申し上げます。


【講演内容】

 本講演は、機械関連の中堅・中小企業におけるDX化・デジタル技術活用に関して、異なるタイプの先進的事例を2つ紹介することで、多様なDX化を考えるヒントを提供することを目指すものである。
 第1講演では、「金属プレス金型製作における小規模事業者のDX」として、有限会社永井製作所代表取締役社長の永井慎也氏が、小規模事業者におけるDXの取り組みについて講演を行った。有限会社永井製作所は、永井氏の祖父が1961年に創業(1968年設立)した、プレス金型を手掛ける群馬県邑楽郡の企業で、永井氏は3代目社長である。同社は中国の台頭による地域の基幹産業の衰退やリーマンショック、震災があり一時期廃業の危機を迎えたが、5面加工機を導入した自動車部品の金型への参入やDX化を中心とした経営改革に取り組み、現在はDXセレクション2024や地域未来牽引企業に選定されるまでに至っている。
 同社がDX化を進めた背景には、永井氏自身の経験があった。永井氏は父親の永井幹男氏が2代目社長の時代に同社に入社し、10年間現場で働いていたが、機械でできるような作業を人間が行うため、非常にフラストレーションが溜まっていた。この経験から、永井氏は3代目社長就任後、MRゴーグルを活用した金型組立作業の革新や、2D図面から3D+MRによるアニメーション指示への転換を進め、未経験者の教育期間を80%削減することに成功している。
 第2講演では、「多品種少量生産工場(精密切削加工)のデジタル化と営業DX」として、株式会社ひびき精機専務取締役の松山功氏が、多品種少量生産工場のデジタル化や営業DXについて講演を行った。株式会社ひびき精機は、精密切削加工を行う山口県の企業であり、半導体製造装置や航空宇宙部品、エネルギー関係のタービンブレードを作っている。
 同社では、IoT化により、特に人の作業の削減に力を入れている。例えば、試験的にローカル5Gを導入したり、全社員に稼働状況や製造に必要な加工プログラム等がわかるiPadを配布し加工プログラムや工具情報を含む情報共有システムの構築した他、GV(無人搬送車)による物流の自動化を進めており、また現在カナダの企業とパートナーシップ契約を締結し、スマートグラスを用いて熟練工の指示を海外工場に送ることで海外生産を行うリアルタイム監視作業支援の取り組みを行っている。このような施策の結果、同社の社員の平均年齢は34歳と若く、新卒採用にも少しずつ成功している。営業部門でDX化を積極的に取り入れ、海外との直接取引を拡大している。
 最後に、機械振興協会副会長兼技術研究所所長の西本淳哉より、両社の取り組みについてのコメントがあった。先ず、永井慎也氏の講演については、DX化を進める上で社長のリーダーシップが重要となることや職人の経験を1つずつデジタル化し蓄積していくことで業務削減に繋がるとのコメントがあった。次に、松山功氏の講演については、通信ネットワーク化によりモノ作りに留まらず、営業への活用や海外生産への展開に応用できることに感銘を受けた旨、コメントがあった。さらに、デジタル化が規模や地域の壁を超える可能性について、質疑応答が交わされた。

 講演後は参加者との質疑応答が行われた。有限会社永井製作所の講演に関してはDX化により企業の知名度が向上し新入社員の獲得に繋がったこと、株式会社ひびき精機の講演に関しては、現在、工場ではトライアル期間が終わりローカル5Gを撤去し有線とWi-Fiを併用していることや、GVを使って工作機械の油や工具類、洗浄が必要な部品を運搬していたことなどが説明され、盛況裏に終了した。



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