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機械製品に対する安全要求と設計方法

第15回 危険解析とリスクアセスメント

実施手順

  1. (1)危険識別表により製品に内在する危険を抽出し、その危険のレベルを評価すると ともに、対象と なる危険を除去 する一般的な設計方法を特定する。
  2. (2)危険識別表で明らかになった危険に対して危険解析表を作成し、危険要因の制御と除去方法を特定し、リスクアセ スメントとしてリスクの見積もりと評価を行う。
  3. (3)危険が許容リスク以内ならば検討を終了する。
  4. (4)危険が許容リスクを超えているならば設計の見直しを行い、危険の制御が妥当と判断されるまで危険解析表を修正・完成させる。


実施手順の具体例(給水システム)

図2に示す圧力容器に液体(水)を充填している給水システムを例に実施手順を説明します。

危険解析においては、設計の初期段階で表1に示す危険識別表を作成します。

次に、危険識別表で明らかになった危険に対して表2に示す危険解析表を作成し、危険要因の制御と除去方法を特定し、リスクアセスメントとして表3,4を参考にしてリスクレベルを決めます。


危険識別表の作成(給水システムの危険解析表)

表1に危険解析表を示します。給水システムの構成要素である「コントローラ」、「圧力容器」、「ポンプ」の危険を、使用上の危険として「圧力容器の爆発」を識別します。検討の結果抽出された危険に対しては被害の度合いを表の注)に示す基準で分類し表の該当箇所に記入し安全設計基準に照らし合わせ、被害レベルS3、S4に分類されたものに対しては必ず対策を検討します。S1、S2に分類されたものに対しては、その状況に応じて対策を検討します。

表1 危険識別表

注)S1:すり傷(微傷、軽微な災害)、S2:軽傷(不休業災害)、S3:重症(休業災害,被害等級8-14)、S4:死亡・廃疾(障害等級1-7級)

※表1の画像をクリックするとブラウザの新規タブで拡大画像が表示されます。


危険解析表の作成とリスクアセスメント

危険解析表での解析には、FMEA(Failure Mode and Effects Analysis)、FHA(Fault Hazard Analysis)などの手法がありますが、ここでは下表に示すFMEAについて解説していきます。

FMEAの手順は、

  1. (1)まず、製品に生じる危険の程度を想定して危険の原因を分析し、その影響を評価する。
  2. (2)次に、危険の影響をなくすための調べ方と、防ぐ方法を導き出す。


  1. (3)最後に、危険が発生した場合のリスクレベルを評価する。

FMEAシートにおいて、下に示す「被害の度合い(表3)」と「発生の可能性(表4)」から表5に示す「リスクレベル」を客観的に判断することが重要です。そのために以下のようなクライテリアが提案されています。リスクレベルIII、IV、Vに関しては、危険をなくす対応が必ず求められます。その他のレベルに関してもコストの制約との兼ね合いで極力、危険をなくす対応が必要と考えられます。


危険解析表(給水システムのFMEAシート)

圧力容器に液体(水)を充填している給水システムのFMEAシートを表6に示します。