FMEAシートの作成手順は、(1)まず、製品に生じる危険の程度を想定して危険の原因を分析し、その影響を評価します。ここで、危険の程度・原因・影響を分析するには、FTAを利用することが有効です。(2)次に、危険の影響をなくすための調べ方と、防ぐ方法を導き出します。(3)最後に、危険が発生した場合のリスクレベルを評価します。なお、リスクレベルIII、IV、Vのときには、必ず危険をなくさなければなりません。設計者が下表に示すFMEAシートを作成し、信頼性・安全性・品質管理技術者等がチェック、審査していきます。設計者は製品の仕様、安全基準、使用条件・方法等を十分理解していることが必要です。
FMEAシートにおいて、「被害の度合い」と「発生の可能性」から「リスクレベル」を客観的に判断することが重要です。そのために以下のようなクライテリアが提案されています。リスクレベルIII、IV、Vに関しては、危険をなくす対応が必ず求められます。その他のレベルに関してもコストの制約との兼ね合いで極力、危険をなくす対応が必要と考えられます。
表1 被害の度合い | | 表2 発生の可能性 |
被害の度合い | 程度 | 被害の目安 |
S1 | すり傷 | 微傷、軽微な災害 |
S2 | 軽傷 | 不休業災害 |
S3 | 重傷 | 休業災害、被害等級8~14 |
S4 | 死亡、廃疾 | 障害等級1~7級 |
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発生の可能性 | 程度 | 可能性の目安 |
K1 | まれに | 年に1回程度 |
K2 | たまに | 月に1回程度 |
K3 | 時々 | 週に1回程度 |
K4 | 頻繁に | 日に何回も |
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検討のポイント | | 検討のポイント |
- 1.健康への影響を定量的に判断する
- 2.被害者数を想定する
- 3.環境への損害も考慮する
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- 1.危険への接近頻度と時間を考慮 して定量的に判断する
- 2.被害者の被害回避能力も考慮する
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表3 リスクレベル |
| K1 まれに | K2 たまに | K3 時々 | K4頻繁 |
S1 すり傷 | Ⅰ | Ⅱ | Ⅱ | Ⅲ |
S2 軽傷 | Ⅱ | Ⅲ | Ⅲ | Ⅳ |
S3 重傷 | Ⅲ | Ⅳ | Ⅳ | Ⅴ |
S4 死亡、廃疾 | Ⅳ | Ⅴ | Ⅴ | Ⅴ |
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リスク評価のポイント |
- 1.倫理的で正確な判断を行う
- 2.規格・標準・法律に適合する判断を行う
- 3.世論に敏感で政治的な影響を排除する
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