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過去の事例 詳細

地球観測衛星みどりII号の運用異常

【検討不足、経験不足による事例:しっかり検討、審査することが大切です!!】



人はミスを犯すものだと言われています。設計においてもミスはつきもので、小さなミスが後で命取りになることが多々発生しています。地球観測衛星みどり-II号は、平成14年12月にH-IIAロケット4号機により打上げられました。1年後、発生電力の低下により通信が途絶えました。事故原因は、太陽電池パドル(電力発生のための板)からのハーネス(電力、信号配線)の短絡によるとされました。ハーネスは厳しい温度サイクルを受けており、最高温度はハーネスの許容温度を越え230℃まで上昇したと考えられました。まずハーネスが高温となり被覆が損傷しました。さらにハーネスを覆っている多層断熱材が帯電し、これとハーネス間で放電が起こりハーネスの損傷が拡大し短絡が起きたと推定されました。当初、設計ミスによりハーネスの予測温度を143℃としたのです。 さらに、EMC(電磁干渉)上の問題がないことより多層断熱材に帯電防止の接地を行っていませんでした。この設計ミス、判断ミスにより不具合が起こりました。

このような不具合を起こさないためにも経験者による設計結果のチェック、審査を行うことが必要です。小さなミスを見逃さない勘を養いましょう!!

(出典:宇宙開発委員会資料、http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/uchuu/reports/04080901.pdf)

図 みどり-II号の外観