研究テーマ名 | 研究の概要 |
(a)硬脆材料の超精密延性加工技術の研究 |
レーザプリンタの心臓部であるポリゴンミラーに代表される金属鏡の製造方法は、超精密切削技術の向上と共に研削・研磨加工からダイヤモンド切削に移行した。硬脆材料はいまだに研削・研磨加工で仕上げられており、延性切削が可能になれば金属鏡同様に加工能率の高いダイヤモンド切削が主流となることは自明である。代表的な硬脆材料のガラスは0.1μm以下の切取り厚さでは延性切削可能だが、高剛性高精度な機械を必要とし、激しい工具摩耗を伴うために実用化が阻まれている。 |
本研究所で開発した超精密加工機を用い、ダイヤモンド工具の摩耗原因を探求し対策を講じる。最終的にはガラス材料におけるダイヤモンド延性切削加工において工具の長寿命化を図り、産業化が可能になるレベルまで向上させる。 |
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(b)多自由度ステージ機構の開発研究 |
製造技術は、日本の生命線ともいうべき経済力の源泉であり、我が国のみ実現可能な高精度加工技術が存在するなど、世界的にも最高水準にある。加工技術に対する要求精度も、現在では数ナノ(10億分の1)メートルオーダといった超高精度が求められている。しかし、従来技術のみで超高精度を達成しようとすると、精度向上に伴ってメカニズムが非常に複雑になり、装置が大型、高価格となる、等の欠点がある。 |
開発を行う多自由度ステージ(製造装置のキーコンポーネントの一つ)は、新機構(パラレルメカニズム)と従来機構を組み合わせたハイブリット構造とすることで小型化し、新原理に基づく超音波モータのダイレクト駆動により、高速で高精度なナノメートルオーダの位置決め、メカニズム構造の単純化、低価格化を目指す。 |
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(c) CGスクエア技術(サイクロイド系歯型の歯車加工技術)の研究 |
近年ではバリアフリー化の流れを受けて、肢体不自由者の機能を補填するための装置や、寝たきりの方の介助を目的とした介助支援装置などの開発がさかんに行われている。しかし、これらの装置には、モータの力を倍増させるための減速装置が必須となる場合が多いのであるが、コンパクトでしかも、摩擦損失が少なく、大きな減速比を稼げる高性能な減速装置が見当たらないのが現状である。 |
また、最近注目を浴びている二足歩行ロボットにおいても、高性能な減速装置がないことから、制御そのものを難しくし、摩擦力による損失をカバーするために、より大きなバッテリーを搭載しなくてはならない原因となっている。 |
本研究では、転がり接触を基本とするため、大幅な摩擦力の低下が期待でき、高性能な減速装置を構成することができるサイクロイド歯車を、効率よく加工するための装置の開発を行う。 |
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(d)三次元測定機による測定の不確かさに関する研究 |
産業のグローバル化により、取引のための評価基準が必要となる。寸法・形状の評価に利便性から三次元測定機が広く利用されている。この測定機のトレーサビリティ体系確立に関し、産業界側からアプローチする。 |
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