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調査研究報告書 詳細

情報技術・市場の開拓と宇宙技術の産業応用―米国政府の軍産両用技術政策と日本への若干の政策的含意―

報告書No. H9-5
発行年月 : 平成10年5月



Ⅰ 主要目次
はじめに     
第1章 米国政府の情報技術政策と日本への若干の政策的含意
1. 軍産両用技術戦略と情報技術・産業政策 - HPCCとNII
2. 小括 - 日本にとっての若干の政策的含意
第2章 情報・宇宙複合技術の産業応用を進める米国政府
1. GPS(位置情報システム)
2. GIS(地理情報システム)
3. ITS(知的輸送システム)
4. 小括 - 日本でも必要な政府調達・対外援助の戦略活用
おわりに          
Ⅱ 概要
 情報技術の面では米国の優位が顕著となっているが、今後は宇宙技術の産業応用の分野でも、情報技術との複合のもとで米国優位のまま、グローバルな市場開拓、事業化が進む懸念がある。この分野では規格標準化なども含め、一国規模を超えた各種の基盤整備が極めて重要であるが、現在の日本の官民における取組では、最終的にグローバルな市場開拓を導くステップとして例えばアジアにおける先進事例の集積や枠組作りといった広義のリージョナルスタンダード形成(事例積重ね)に有効に結びつくかたちで活動がされているとは言い難い。特に日本政府における「研究開発」プロジェクト、「成果利用・調達」、「対外援助」、「事業採算性評価」など、各種政策間の“有機的結びつき”は貧困である。米国政府が、国家安全保障および産業競争力強化を目的として、「軍産両用技術政策」を展開し、研究開発~政府による初期需要創出(調達購入)~規格標準化など、各ステージにわたる広汎な政策を採っているのと対照的である。
   本報告書の組立は、まず米国における軍産両用技術政策の代表例としてHPCC計画の概要を整理し、両用技術政策の先進例としてセマテックの動向から米国官民によるグローバルな糾合と競争力強化の同時追求の方向を探り(第1章)、次いで日本における情報化関連の個別活動例としてITS、GIS、宇宙の産業利用(LEO、GPS)のケースを整理、問題点を調査し(第2章)、今後日本政府が上述のような各種政策間の有機的結びつきを配慮することが必要ではないかとの指摘を行った。