調査研究報告書 詳細
情報共有と組織力の向上―IT活用能力と組織学習―
報告書No. H16-5
発行年月 : 平成17年3月
Ⅰ 主要目次
調査概要とサマリー
第1章 問題意識と調査研究の方法
第2章 エグゼクティブ・サマリー
第Ⅰ部 総論
第1章 情報共有、組織学習そして組織能力
第2章 企業の競争力と情報技術の活用
補論 ITケイパビリティ形成の組織デザイン
第Ⅱ部 各論
第3章 製品開発と情報共有
第4章 生産システムと情報活用・共有:トヨタ自動車グループとトヨタ生産方式の例を中心に
第5章 サプライチェーン・マネジメントと情報共有
第6章 不都合情報の共有と組織力の向上
第Ⅲ部 アンケート調査
第7章 アンケート調査の概要と結果
資料編
Ⅱ 概要
IT活用により経営の効率化や経営変革・革新を図っていこうとする動きが活発化している。そのような中、IT投資が実際の経営パフォーマンスに結びついているのか、あるいはITの導入によって組織の情報共有が本当に促進されているのか、IT導入が組織パフォーマンスを向上させているのか、といった疑問の声も聞かれるようになっている。本報告書は、わが国機械関連企業における情報共有の現状を把握するとともに、ITの導入・活用を組織的なイノベーションに結びつけることを可能にするようなマネジメント特性の解明を目的としている。
総論ではITケイパビリティ、組織能力、情報共有といった概念の規定や関連性について総括的に扱っている。その上で各論として、製品開発、生産、サプライチェーン・マネジメント、不都合情報の扱いといった課題ごとに情報共有、組織力の向上との関係について解明している。また、アンケート調査(機械関連企業:1500社)も行い、大量観察の手法を用いることで、因果関係をより客観的、定量的に把握するよう努めた。
各論から導かれた要点として、製品開発における情報共有では、①ロードマップの作成と有効活用の必要性、効率化の道具としてのIT導入の必要性。生産における情報共有では、IT導入にあたって企業の基本的な価値観、組織風土を重視することの重要性。特に、生産管理上でのIT活用では、人間のミスを補い、ストレスから解放するという強い理念が重要になる点。サプライチェーン・マネジメントのような組織間の情報共有では、単に外部との情報共有の仕組みを構築
するだけでなく、組織的・人間的な側面に大きく影響を受けること。不都合情報の共有化では、通常業務との連携、過度の責任追及や失敗を懲罰的に扱う組織風土の変革が求められる点などを提言として提示している。
概要版(pdf)