調査研究報告書 詳細
「サービス工業化」時代における技術経営戦略のあり方
報告書No. H17-3
発行年月 : 平成18年3月
Ⅰ 主要目次
要旨
第1章: 機械工業の概況と課題
第2章:明暗分ける「ものづくり」の背景
第3章:情報通信機器にみる戦略課題
第4章 サービス工業化戦略
参考資料
Ⅱ 概要
本調査研究は、平成17年度調査研究「牽引型産業と先端技術・市場ニーズ型産業のリンケージ」の一環として実施したものであるが、平成15年度の成果である「研究開発ファイナンス型ビジネスモデルの構築を」並びに平成16年度の成果である「像情報産業の現状と課題」を受け継ぐ形で、機械工業の競争力の分析と競争力強化策の検討とを試みたものである。
既に、平成14年度「基幹技術コンセプトからみた機械工業の課題」において明らかにしたところであるが、我が国の機械工業は、動力機、制御機構、機能材料からなるシステム機械に強みを持っている。また、像情報工学に立脚した精密機器でも、世界に冠たる競争力を誇っている(平成16年度成果)。しかし反面、半導体、情報通信機器で、急速に競争力を失ってきている事実も見落とせない(平成15年度成果)。
本調査研究は、以上のような過去の実績に基づいて、①現在、競争力がある機械工業における課題の吟味、②競争力がある輸送機械等と競争力を失っている情報通信機器等との対比による現状の背景分析、③情報通信機器の代表である携帯電話における競争力喪失要因の分析を行い、最後に④我が国機械工業の弱い環である情報通信機器の競争力強化策を「サービス工業化」の時代背景において考察したものである。
情報通信機器の競争力喪失については、コスト競争力をその理由とする論調が見受けられるが、実際は、①世界的に垂直統合型ビジネスモデルが崩れる中で、国内だけ垂直統合モデルを残そうとしたこと、②垂直統合型の競争モデルと研究開発投資回収モデルが崩れたことによる収益力と開発力の低下によるものである。
そこで、本調査研究では、社会インフラとしてのサービス産業と機械工業とを共進化させながら競争力を強化する道を、今後の課題として提起している。