調査研究報告書 詳細
機械関連企業における「CSR調達」の現状と今後の展開
報告書No. H18-6
発行年月 : 平成19年3月
【主要目次】
第1章 調査研究の概要
第2章 日本企業のCSRとCSR調達の状況
第3章 発注先企業における企業の社会的責任とCSR調達動向
第4章 CSR調達に取り組む企業の実際
第5章 CSR調達の課題と今後の展開にむけて
付属資料 アンケート集計結果 アンケート調査票
【概要】
本調査研究は、平成17年度研究事業「機械関連企業の社会的責任(CSR)調達導入の可能性と取引関係に於ける影響」の一環として実施したものである。
現在の日本における大手企業のCSR活動の最近の動きの一つとして、発注元企業が、取引先(発注先)企業に対してもCSRを盛り込んだ調達方針や基準を示し、これに賛同・協力の要請を行っていくCSR調達の動きを取り上げ、発注元、発注先両方から観た機械関連企業のCSR調達の現状について文献・資料、アンケート(2006年11月実施)、関係者インタビューを通じて把握・理解するとともに、前年度研究事業「機械関連企業における社会的責任(CSR)への取り組み」の成果や有識者との議論を通じて、課題や今後の展開について検討を行った。
既に、大手企業による環境分野に対する社会的責任を果たす取り組みは、自社内のみならず、サプライヤーへの「グリーン調達」や、取引先企業にも環境マネジメント規格の取得などを要請するなどの活動が行われている。そして、機械関連企業のサプライヤー側にも、発注元の製品仕様や品質管理の観点からも環境分野への認識は強く、その浸透が図られ実践されている。このような状況で、エレクトロニクス大手企業などコンシューマー製品を抱える分野では、環境分野にとどまらず、更に、人権、労働等についても企業の社会的責任と受けとめて、調達方針、基準に盛り込み、そのサプライヤーへの取り組みを本格化させる兆しがある。サプライヤーとしては、より具体的な要請がなされていない、人権、労働等を含むより広範なCSRについては、要請事項が明確な環境分野とは異なり定まった対応がなされているわけではなく、それぞれの企業の認識において対応がなされているものと考えられる。
今後、企業が発展していくためには、より良い製品・サービスの提供にとどまらず、さまざまなステークホルダーや社会とのかかわりを積極的に行い信頼に根ざした協力関係を醸成して、社会とともに発展を遂げることが益々重要視されていく、という視点から、CSRへの理解を行い、その「CSR調達」への考え方や発注元企業と発注先企業との協力体制の重要性等について指摘した。