調査研究報告書 詳細
グローバル展開期のモノづくり基盤強化に向けた新しい方向性―大企業と中堅中小企業の国内におけるモノづくり革新―
報告書No. H18-5
発行年月 : 平成19年3月
【主要目次】
第1章 本調査研究の概要
第2章 モノづくりにおける情勢認識と基本戦略
第3章 大企業のモノづくり革新の取り組み
第4章 中堅中小企業の対応とモノづくり革新
第5章 大企業と中堅中小企業の連携によるモノづくり基盤強化に向けて
【概要】
わが国のモノづくり産業は、21世紀に入りその環境を大きく変化させてきている。その変化とは、一つ目は「社会・政治環境」であり、二つ目は「技術環境」であり、三つ目は「市場・企業環境」であり、四つ目は「競合環境」であり、最後は「日本社会における固有の環境」である。大企業は、このような環境変化を考慮して、時代認識を変化させて、生産部門や開発設計部門について時代の変化を踏まえた転換への取組みを推進している。そして取引先である大企業が環境変化に対応した取り組みを行っているのであるから、これら大企業のサプライヤーやサブ・アッセンブリーとしての中堅中小企業にも時代の変化を踏まえた全社的なモノづくり革新が求められているといえるだろう。そこで、当経済研究所では平成18年度の調査研究事業「機械産業におけるモノづくり基盤強化に向けた生産革新の新しい方向性」において、モノづくりの構造変化を受けてモノづくり革新を進める大企業と連携することにより中堅中小企業の競争力を確保し、地域におけるモノづくり基盤の維持・強化の新しい方向性を模索することを狙いとして調査研究を行なった。
大企業のモノづくり革新は、生産分野(生産革新)から領域が川下と川上に拡大してきている。そして、中堅中小企業も取引先である大企業に連動したモノづくり革新に迫られている。その対応を誤れば取引先からの受注を失うことになるため、早急な対応が求められている。本報告書で取り上げている事例は、多くが受注型及び量産型の中堅中小企業である。このような中堅中小企業が行っている量産型ビジネスは海外、特に中国の低労働コストに押されて、取引先である大企業が海外に生産拠点を移管している分野である。したがって、有識者の多くの論調が、新技術や新商品の開発、つまりオンリーワン技術やオンリーワン商品で生き残りを図る、研究開発型の中堅中小企業を目指すべきであるという。しかし、本報告書の事例に見られるように、受注型及び量産型であってもモノづくり革新を行い、取引先企業と連携することで地域のモノづくり基盤基盤を強化している中堅中小企業も多い。このような受注型及び量産型の中堅中小企業に対して、行政として支援していくことは必要といえるだろう。