調査研究報告書 詳細
変容する顧客の価値・ビジネスに対応したモノづくりの取り組みと今後の展開―機械関連産業の新たな発展に向けた価値創出への視点―
報告書No. H20-6
発行年月 : 平成21年3月
【主要目次】
第1章 調査研究の概要
第2章 モノづくりからサービス提供への流れ
第3章 実際の現場から
第4章 モノづくりをベースとした新しい事業創造への期待
第5章 まとめにかえて
【概要】
グローバル化、情報化、少子高齢化、環境問題など、機械関連産業を含むモノづくりを取り巻く社会の変化は、絶えず、次なる産業への課題とビジネス機会を提供し続けている。日本では、戦後、モノがなかった時代から、大量生産・大量消費を通じて経済的豊かさを手に入れていく過程で製造業の果たしてきた役割は大きい。一方、モノがあふれ、コモディティ化が進み、社会環境の変化によって価値観が多様化する状況で、従来の機能向上やコスト低減だけに支えられた商品の訴求力は高いとは言い切れない状況であり、新たな価値観の台頭に応じた商品開発の考え方・コンセプトを提示していく必要性があると考えられる。
本調査研究では、上述の問題意識をベースに、これまで力点が置かれてきた、モノによる顧客への「機能の提供」という観点だけではなく、顧客・最終ユーザーが求める「価値の創出と提供」という観点から製造業を捉えなおすことによって、事業活動例などを理解・分析するとともに、文献などを整理しながら、今後のモノづくりの展開における企業経営、事業展開、政策的視点などについて議論・検討を進めた。
報告書では、公開情報、各種文献、企業関係者へのヒアリング調査、そして有識者からなる調査研究委員会での議論などをもとに、戦後の日本経済におけるモノづくりが提供してきた価値や経済成長に応じた社会変化などを概観、モノが作りだしてきた価値の変遷について考察し、モノの機能の提供を価値とすることから、ユーザーが必要とするサービス価値を創造していくことを軸に事業発想を行うこの意義について述べている。また、地域社会、安心、快適性、女性の健康、福祉にかかわる価値の創出・提供を行う企業事例から価値創出プロセスを紹介するとともに、社内完結型の製品開発プロセスからの脱皮、製品の価値を高める社会環境の形成・整備との観点からも、顧客やユーザーをはじめ、異業種異分野、そして幅広い社会などとの協働環境づくり、コミュニケーションの重要性を指摘した。これらの事例などを踏まえて、各執筆者の専門的視点から、今後のモノづくりをベースとしながら取り組まれるべき新たな価値提供に向けた考察がなされている。