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調査研究報告書 詳細

アジアとの分業の進展にみる機械産業の課題

報告書No. H7−6
発行年月 : 平成8年5月



Ⅰ 主要目次
第一部 国際化の意味と新たな分業の構築
第1章 機械産業における生産機能の国際化
第二部 アジアとの分業の進展と新たな模索
第2章 カラーテレビ、VTRにおける国際分業
第3章 自動車産業のアジア分業
第4章 パソコンにおける国際分業
第5章 金型における国際分業
第三部 まとめ      
Ⅱ 概  要
 超円高を背景に、機械産業の国際分業が新たな形で構築(配置)され、それらに関わる調整費用の派生が無視できなくなっている。特に機械産業の生産機能とR&D機能について、その配置と調整が重要となること、日本の機械産業の技術が低下しないような分業体制の構築が必要となることを指摘した。その上で、以下の4つの分野における開発・生産システムの国際分業の現状と課題について、特にアジアとの関わりに注目しながら、事例調査を実施した。
 事例調査からは、カラーテレビ・VTR、またパソコンでは、従来からの日本という場所で日本製の素材・部品をもちいて、日本的な経営・生産システムによって完成品を生産するという事業の形態には、変化が生じていること。自動車や金型という技術移転やアジアでの事業化が容易でない分野においても、日本国内における機能と海外における機能の相互補完的で最適な配置が模索され、その実現へ向けて動きだそうとしていること。そこにみられるアジアを中心とした国際分業の進展は、単に企業内分業に限られたものではなく、技術の変化とあいまって日本の機械産業の開発・生産プロセスの変化をもたらし、日本の技術の高度化を促進しつつあることなどがわかった。
 これらの調査、また巻末の中国の委託加工貿易の資料からも読み取ることが出来るように、アジアとの関係は多様に、また双方向のものになっている。こうしたアジアの成長、世界的な競争の激化という環境にあっては、機械企業のモノ作りにおいても、こうした国際展開のメリットをうまく吸収して調整コストを低減する仕組み作りが必要であることを指摘している。