Ⅱ 概要
「モノづくり」技能の空洞化が進み、日本経済を支えてきた製造業の競争力が低下するのではないかと憂慮されている。この技能の空洞化の背景には、国際的な価格競争が激化するなかで生産ラインの海外移転が進み、モノづくりが空洞化しつつあることに加えて、技能継承が進まないままに、いま生産現場を支えている中核的技能者が高齢化しつつある、という事情がある。そうなると、将来の生産を支える中核的な技能者をいかに育成するかが重要な課題になる。いま技能継承問題に直面しているという現実をみると、育成方法についても従来型に代わる方法が検討されねばならないだろう。そのためには、既存の能力開発システム全体を点検する必要がある。そこで本調査研究では、いま中核的技能者として活躍している技能者のキャリア形成と教育訓練経歴を明らかにし、それに基づいて機械産業における能力開発の長期政策の方向を取りまとめたものである。本報告書は3部から構成され、第@部では、第@部で明らかにされた点を整理するととともに、それに基づき機械産業の能力開発の長期政策の方向性を展望している。第@部のアンケート調査編では、中核的技能者のキャリア形成と教育訓練経歴についてアンケート調査結果から検討している。そして第@部の事例調査編では、技能継承に取り組んでいる企業をインタビュー調査により取りまとめている。 |