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調査研究報告書 詳細

製品開発に関わるサプライヤーの情報化の現状と課題―金型産業を中心に―

報告書No. H11-3
発行年月 : 平成12年5月



Ⅰ 主要目次
はじめに 1.調査の概略  2.金型産業の現状  3.金型産業における3次元技術の導入 4.3次元技術がもたらす金型産業の経営環境変化  5.調査結果の概略
第1章 高度情報化の進展状況とサプライヤーの動向
1.1 高度情報化の現状
1.2 高度情報化と産業界
1.3 セットメーカーの動向
1.4 高度情報化と素形材産業
第2章 企業間取引における3次元CAD活用上の課題 ― データ交換の問題を中心に -
2.1 はじめに
2.2 企業間取引での現状と課題
2.3 3次元CAD導入と企業間取引の構造
2.4 まとめ
第3章 3次元CADの効果的活用に貢献する新しいビジネス
3.1 はじめに
3.2 3次元CADの潜在力を実現する要件
3.3 3次元CAD技術による製品開発プロセスの統合化を妨げる要因
3.4 異なるCADシステム間でのデータ変換:エリジオン社
3.5 金型データでのノウハウの集約:クライム エヌシーデー社
3.6 まとめ
第4章 高度情報化の進展と日本企業の課題
4.1 はじめに
4.2 ITの技術進歩とその影響
4.3 ITを活用した大規模調達システムと国際比較上の含意
Ⅱ 概要
 機械産業のモノ作りにおける情報化は、特に製品開発における3次元CAD、中でもソリッド技術の利用に象徴的に現れており、セットメーカーのみならずサプライヤーへも大きな影響を及ぼす可能性がある。そこで、セットメーカーにおける3次元CAD利用の現状(平成10年度調査)を前提に、製品開発に関わるサプライヤーのうち金型産業を中心にとりあげ、ヒアリング調査により、その情報化の実態と取引関係の変化について調査を実施した。
 調査の結果、セットメーカーと並んで先進的な金型メーカーにおいても3次元技術の普及が進み、情報技術の導入によって、競争力を一層強化する企業、また新たな情報技術の開発や事業形態の開発で実績を上げる企業の台頭、長期不況やグローバル化によって内需が大きく後退する中3次元データの授受ができる金型メーカーに受注が集中している状況等を把握できた。しかし一方で、情報技術の導入は例えばデータ交換において技術的に、また従来からの取引関係を反映する形でも問題を惹起している等、新たな問題も生じている。こうした点から、製品開発プロセスにおける相互作用型の革新・取引関係への影響、日米のこうした取引関係における特徴への影響、金型の産業構造への影響・二極化の可能性についてが問題領域であると想定され、それらについて現段階での仮説を提示した。