Ⅱ 概要
東南アジアの経済危機が一段落し、経済回復が見られる現在、東南アジア自動車市場は苛烈な競争市場に変化している。一方で、合従連衡の過程で、いわゆる日本的な部品取引慣行の抜本的な見直しを迫られているメーカーも存在する。また、国際的な自由化の流れは東南アジアにも及んでいる。以上のことなどから現地の日系自動車メーカーと部品メーカーとの関係が、品質・コスト・輸送についてシビアに選択される時代を迎えており、自動車メーカー、自動車部品メーカーともにこれまでの戦略を大きく変容しなければならない時期にきている。本報告書では、日本自動車産業と東南アジア自動車産業および市場の現状と展望をとらえ、現地で操業する日系自動車および自動車部品メーカーの実状と、アセアンに対する産業協力についての取り組みについて取りまとめたものである。また、ヒアリング調査の一部をケーススタディとして取りまとめた。具体的には、第1章では、東南アジア自動車産業と日本自動車産業全般にについて、第2章では、東南アジア自動車市場について、第3章では、アセアンに対する日本自動車産業界の産業協力について、第4章では、現地で操業する日系自動車メーカーの東南アジア事業について、第5章では、東南アジアでの日系自動車部品産業の事業展開について、第6章では、東南アジアにおいて自動車産業の最も進んでいるタイ自動車産業の実状について、第7章では、多数の人口を抱えながらも、さまざまな課題を突きつけられているインドネシア自動車産業の実状についてそれぞれ分析をおこない、国内外の日本(日系)自動車及び自動車部品メーカーを対象としたヒアリング調査の一部、特にタイとインドネシアのケースを事例調査として取り上げ第8章に整理し、日系自動車および自動車部品メーカーの経営課題とその対処策などを取りまとめたものである。 |