調査研究報告書 詳細
中堅中小企業の研究開発マネジメントと人的資源―製品開発におけるマネジメント人材の活用―
報告書No. H17-5
発行年月 : 平成18年3月
Ⅰ 主要目次
第一章 本調査研究の概要
第二章 中堅中小企業の製品開発における決定要因
第三章 MOTと研究開発マネジメントの現状
第四章 中堅中小企業の産学官連携
第五章 中堅中小企業の知財戦略
第六章 中堅中小企業におけるプロジェクト・マネジメント
第七章 大企業における研究開発マネジメントの現状
第八章 中堅中小企業に求められる商品事業
第九章 中堅中小企業の製品開発におけるマネジメント人材の確保
第十章 中堅中小企業で大企業のOB人材が活動するための支援の必要性
Ⅱ 概要
近年、中堅中小企業がわが国機械産業の新たなイノベーションの担い手として台頭してきている。それらにおいては、製品開発の効率化、社外との連携などの取り組みが実施されている。また、MOT(技術経営)プログラムが構築され、企業における製品開発の具現化に向けた人材の育成が試みられている。さらには、2007年問題などを背景に大企業から大量に供給されるだろうOB人材の知識や経験を企業で活用する方法について様々な取り組みが行なわれようとしている。
そこで本調査研究では、中堅中小企業が製品開発プロジェクトを行なう際に必要な人材のあり方と、そこにおける大企業のOB人材の活用の可能性について考察を行なった。
社内シーズに限りがある中堅中小企業が、製品開発を行っていくには社外シーズを活用していくことが必要であるといえる。しかし、中堅中小企業は社外シーズをこれまで効果的に活用することができなかったといえる。その要因には、社外シーズを活用する製品開発プロジェクトの非効率性が指摘されている。その原因は、マネジメント人材の不足にあるといえる。したがって、中堅中小企業にとっては製品開発プロジェクトを実行する際のマネジメント人材の獲得と育成の必要性がある。このうち育成については、時間とコストがかかり、中堅中小企業には実施が厳しいといえる。一方、獲得については、大企業のOB人材の獲得と活用が有効と考えられる。中堅中小企業にも、中長期的には自社のモノづくりに適応したマネジメント人材の育成が必要ではあるが、短期的には大企業のOB人材の活用を図るべきである。行政は、中堅中小企業の大企業のOB人材の活用に対する支援を行うことで、中堅中小企業の製品開発マネジメントの効率化を図るべきである。それによって、わが国製造業のイノベーションの新しい担い手である中堅中小企業の競争力の強化を図るべきである。