FT図の作成は、以下の手順により行っていきます。
ステップ1 | : | 解析対象を理解します。 | |||
ステップ2 | : | 対象としている製品の故障、および製品による事故より、トップ゚事象を設定します。 | |||
ステップ3 | : | トップ事象から推定される第一レベルの事象を識別します。 | |||
ステップ4 | : | トップ事象と第一事象を論理記号で関連付けます。 | |||
ステップ5 | : | さらに下位の事象を識別し、その上位事象と論理記号で関連付けます。 | |||
ステップ6 | : | 事象が「基本事象」、「非展開事象」のレベルに達したら展開を終了します。 | |||
定量的な解析が必要な場合にステップ7に進みます。詳細は、「次回のプール代数による確率計算と最小カットセット」で説明します。 | |||||
ステップ7 | : | 定量的な評価が必要な場合は、各事象ごとに故障率を割り当て製品の故障の発生確率を求めます。 | |||
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下図に示す「線材巻き取り機」のFTAを作成してみましょう。「FT図の作成例(回転体の破損)」に作成の流れを示したFT図を示します。
ステップ1 | : | 解析対象を理解します。 |
→ | この場合下記に示す写真より | |
「一定の回転力で回転し、トラバースしながら線材を巻き取っていく回転体であり、線のサイズによりますが、φ15の線材を50m程度巻き取ることが可能である」ことを理解します。 | ||
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ステップ2 | : | 対象としている製品の故障、および製品による事故より、トップ゚事象を設定します。 |
→ | 線材巻取り機の一番大きな不具合は、「線材が巻き取れない」ことです。この事象にいたる故障は、「回転体の停止」、「回転体の破損」、「回転体の動作異常」等考えられますが、ここでは「回転体の破損」を考えて見ましょう。 | |
ステップ3 | : | トップ事象から推定される第一レベルの事象を識別します。 |
→ | 回転体が破損する原因として「使用材料の劣化による破損」と、「異常回転による破損」を展開事象として識別しました。 | |
ステップ4 | : | トップ事象と第一レベルの事象を論理記号で関連付けます。 |
→ | 「使用材料の劣化による破損」と、「異常回転による破損」がそれぞれ単独におきても「回転体は破損する」ため「トップ事象」と「第一事象」を「ORゲート」で関連付けました。 | |
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ステップ5 | : | さらに下位の事象を識別し、その上位事象と論理記号で関連付けます。 |
→ | 「使用材料の劣化による破損 」を 基本事象の「さび」と、「亀裂」として識別しました。 | |
→ | 「異常回転による破損」を基本事象の 「制御装置の故障」と、「電源の故障」。展開事象の「計装配線のショート」として識別しました。 | |
ステップ6 | : | 事象が基本事象、非展開事象のレベルに達したら展開を終了します。 |
→ | 「制御装置の故障」と「電源の故障」は基本事象のため展開を終了しました。 | |
→ | しかし、 「計装配線のショート」は 、もうこれ以上展開できない否展開事象の「雨水による漏電」として識別できるため、展開を継続し、この段階ですべての事象の展開を終了しました。 | |
ステップ7 | : | ここでは示しませんが、定量的な評価が必要な場合は、各事象ごとの故障率を割り当て製品の故障の発生確率を求めます。 |
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図 FT図の作成例(回転体の破損) |
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